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6月18日の物語

6月19日
読了時間: 3分

ラウンジには、二つの時間が同時に流れていた。


ひとつは物語を書く時間。

もうひとつは、物語が生まれる声に耳を傾ける時間だった。


月曜日から続いてきた脚本リレーも、この日で最終日を迎える。

木曜日に託された役割は“結”。


妖精族と人間が生きるダークファンタジーの物語に終幕を与えることだった。

けれど、読み始めた三人は思わず顔を見合わせる。


月曜と火曜では四人だった登場人物が、水曜日を経て十二人になっていたのだ。


「何が起きた!?」

驚きと笑いが混じる中、まずは物語の整理から始まった。


複雑に絡み合った関係性を、れみーが丁寧に相関図へ書き起こしていく。

一本一本の線が結ばれるたびに、霧の中だった世界が少しずつ輪郭を取り戻していった。


はるきを中心に三人で意見を出し合い、散らばった出来事を拾い集めながら、大きな流れを形にしていく。

やがて進むべき道筋が見え、それぞれが担当する場面を書き始めた。


そんな創作の熱気のそばでは、別の輪ができていた。


友人の一人が棚を眺めながら、占いの話を口にしたことがきっかけだった。

その時、ふらりとうめしゅーが帰宅する。


「さくっと占おうか?」

軽い一言から始まったタロット占いは、気づけば小さな人気企画になっていた。


最初は一人だけだったはずが、「けっこう当たるかも……」という声に引き寄せられるように、次々と友人たちが集まってくる。


カードをめくるたびに歓声が上がり、ときには真剣な表情になる。


「ピンポイントに当てられたら泣いちゃうかも」

そんな言葉に、はるきが静かに頷く。


脚本を書く人。

占いを受ける人。

過去の占い話で盛り上がる人。

同じ場所にいながら、それぞれが違う時間を過ごしていた。

それでも不思議と空気はひとつだった。


脚本に苦戦しながら何度も書き直すすぎちゃん。

箇条書きを並べながら着実に物語を整えていくれみー。

そして、最後の結末を担うはるき。


気づけばラウンジの利用時間が迫っていた。

物語はあと少し。

最後のバトンは、はるきへ渡される。


キーボードを叩く音だけが静かに続く。

すぎちゃんとれみーは、その姿をそっと見守っていた。

迷いなく紡がれていく文章。


登場人物たちが、それぞれの終着点へ向かって歩いていく。


そして最後の一文を書き終えたとき。

はるきは短く言った。

「終わった」

その言葉とともに、一週間かけて繋がれた物語が幕を閉じる。


誰かが頑張る姿を、誰かが応援している。

そんな当たり前のようで特別な景色が、この日のラウンジには広がっていた。

明日の朗読が、少しだけ待ち遠しかった。

 
 

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