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6月20日の物語

6月21日
読了時間: 3分

雨音が窓の向こうで静かに鳴っていた。


そんな午後、りのの「お絵描き伝言ゲームやろうよ」という一言から、この日のラウンジはひとつの想像力で繋がっていった。


最初のお題は、たまごっちのまめっち。

けれど答えを知っているのは出題者だけだ。


「上に長い黒い帽子みたいな耳!」

「目は大きくて右を見てる!」


りのの説明に、みんなは首を傾げながらペンを走らせる。


言葉だけを頼りに描かれた線は少しずつ形になり、その途中でれみーだけが何かに気づいたように笑った。


正解が発表された瞬間、それぞれの紙に生まれた“まめっちたち”に歓声が上がる。

同じ説明を聞いていたはずなのに、どの絵も少しずつ違っていた。


次はれみーが出題者になる。

お題はハチワレ。


「どんな顔だったっけ?」

そんな声があちこちから聞こえる中、優しい説明に導かれるように、紙の上には様々な猫が生まれていく。


はるきのつば九郎も、友人考案の“妖怪飴渡ババア”も、みんなの頭の中を旅しながら姿を変えた。

完成した絵を並べると、それは答え合わせというより、それぞれの想像力の展示会だった。


初めて遊びに来てくれた友人がぽつりと言う。

「同じものを想像しながら描くのって楽しいね」

その言葉に、みんなが静かに頷いていた。


絵を描きながら始まった雑談は、いつしか食べ物の話へ変わっていく。


アイスの話。

期間限定のお菓子の話。

そして誰かが口にした「もっちゅりん」。

食べたことのある人、まだ食べていない人。


話をしているうちに、その名前だけでお腹が空いてくる。

さらに話題は餃子ドックへ飛び火した。


食べたい。

でも雨が降っている。

行こうか。

やめようか。

そんな小さな葛藤をみんなで共有している時間さえ、どこか楽しかった。


その時だった。


新しくやってきた友人の手に、見覚えのある箱があった。

「もっちゅりんだ!」

誰かが叫ぶ。


まるで物語の伏線が回収されたみたいな瞬間だった。


応援を背中に受けて買い物へ向かったれみーは、帰ってくる頃には笑顔になっていた。

箱の中には念願のもっちゅりん。

そして餃子ドックまで。


雨の中を少しだけ冒険して持ち帰ったご褒美だった。

みんなで味を確かめながら笑う。


写真を撮る人。

感想を言い合う人。

黙って頬張る人。

そのどれもが幸せそうだった。


やがて絵も描き終わり、お菓子も食べ終わる。

ラウンジには、何かをするわけでもない穏やかな時間が訪れた。


好きな役者の話。

趣味の話。

最近夢中になっているものの話。

誰かの「好き」が誰かの興味になる。

そんな会話が静かに広がっていく。


特別な出来事がなくてもいい。

ただ同じ場所で、それぞれが好きなものを話しているだけで嬉しくなる。


雨の降る六月の夜。

ラウンジには笑い声と甘い余韻が残り続けていた。


何気ない時間こそが、あとから思い出になるのかもしれない。


そんなことを、ふと感じた一日だった。

 
 

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