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6月25日の物語

6月25日
読了時間: 3分

ラウンジには、いつもの友人も、初めて訪れた友人も集まり、それぞれの会話がゆるやかに重なっていた。


ある一角では、「声優になろう」というボードゲームが始まる。

架空のアニメのオーディションという設定で、手札の言葉を組み合わせ、自分だけの決め台詞を作って演じる遊びだ。

その様子を見ていたみずきちが、

「私、もともと声優だったよ」

と笑いながら輪へ加わった。


最初の舞台は、猫の名探偵が活躍する物語。


「なんだと……力が……出ない!?」


熱のこもった叫び声に笑いが起こり、「ちちんぷいぷい」という可愛らしい一言には、思わず拍手が送られる。


役になりきる人も、それを見守る人も、笑顔を交わすたびに少しずつ距離が縮まっていく。

初めましての空気は、いつの間にかどこかへ溶けていた。


その頃、別の場所では、はるきがすぎちゃんに一つの動画を見せていた。


「これ、一緒に歌いたいんだけど。」


海外の二人組が歌う『Arabian Night』。

重なり合うハーモニーに惹かれ、「やろうやろう」とすぎちゃんもすぐに頷く。


ところが、いざ音を確認すると、ハモリは想像以上の低音だった。


「これは難しいかもしれない。」


そう言いながら何度もパートを入れ替え、自分たちに合う音を探していく。


主旋律ははるき、上ハモはすぎちゃん。


友人が撮影を担当し、みずきちが監督役となって見守る中、二人は気持ちよく歌い切った。


静かに聴いていた友人たちから自然と拍手が湧き、「やったね」と顔を見合わせて笑う。

その笑顔には、挑戦を楽しんだ充実感が滲んでいた。


歌の余韻が残る中、みずきちがふと思い出したように口を開く。


「そういえば、『WINDING ROAD』まだ撮ってなくない?」


その一言で、今度は三人の歌が始まった。


友人にカメラをお願いし、はるき、みずきち、すぎちゃんが並ぶ。


一度歌い終えると、「これ、結構いいんじゃない?」という声が上がる。

何度か録り直しても、どのテイクも心地よく声が重なった。


最後は友人たちにも聴き比べてもらい、一番しっくりくる歌を選ぶ。


少し前まで音を探し合っていた三人は、気づけば自然と呼吸を合わせられるようになっていた。

その小さな成長を、本人たちが何より嬉しそうに受け止めていた。


演じる人がいて、歌う人がいて、それを見守る人がいる。

その役割は何度も入れ替わりながら、ラウンジには笑い声と拍手が絶えなかった。


初めて訪れた友人も帰る頃にはすっかり打ち解け、「楽しかった」と笑顔を残して帰っていく。


誰かの挑戦をみんなで喜び、誰かの一歩をみんなで見守る。


そんな穏やかな夜が、またひとつ静かに積み重なっていった。

 
 

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