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6月6日の物語

6月7日
読了時間: 3分

誕生日というものは、不思議だ。


祝われる本人より、周りの人の方がどこか嬉しそうな顔をしていることがある。


この日のラウンジは、まさにそんな空気に包まれていた。

主役は、はるき。


前日まで準備されていた飾り付けや風船が並ぶ中、友人たちも続々と集まり、特別な一日が始まった。


最初のきっかけは、はるきの何気ない相談だった。


「オーディション用の歌動画、何の曲がいいかな」


ミュージカルソングを中心に候補を挙げていく。


ディズニーはどうだろう。

この曲はどうだろう。

話し合ううちに、れみーが提案した。


「実際に歌って決めたら?」


その一言で、ラウンジは即席の劇場になる。


一曲目の『陽射しの中へ』。

二曲目の『ブギー・ウギーの歌』。


友人たちは真剣に耳を傾け、歌い終わるたび感想を交わした。


そして誰かが言う。

「『ひと足お先に』はどう?」


試しに歌ってみる。

伸びやかな歌声。

台詞のような表現。

曲の中でくるくる変わる表情。


歌い終わった瞬間、みんなの顔に同じ答えが浮かんでいた。


「これだね」


自然と拍手が起こる。

応援の気持ちと期待が、その音に混ざっていた。


その後、なつが思いついたのはもっと突飛だった。


「テーマパークのおおばはるきパーク作ろう!」


そこから生まれたのが、オリジナルキャラクター“シャーキーくん”。


はるきが演じるサメのキャラクターで、うまい棒たこ焼き味を食べると会話ができるらしい。

設定からして謎だった。


「好きな食べ物はなんですか!」

「わかめ」


真面目に答えるシャーキーくん。

友人たちも全力で乗っかる。


キャラクターを崩さないはるきと、それを面白がる周囲。

トークショーは思いがけない方向へ転がり続けた。


最後にはグリーティングまで行われ、全員で記念写真を撮る。

一日限りのキャラクターだったはずなのに、きっと写真を見るたび思い出される存在になった。


賑やかな時間の合間には、もうひとつの贈り物も進んでいた。


友人たちが作っていたアルバム。

せいと、なつ、れみーも一緒にページを埋めていく。


言葉を書き、思い出を書き、少し立ち止まっては笑う。

完成したアルバムが手渡された時、はるきは本当に嬉しそうだった。


ページをめくるたびに、そこにいる全員が自然と覗き込む。

誰かの思い出をみんなで共有しているような時間だった。


歌があって。

笑いがあって。

少し照れくさい言葉があって。

たくさんのプレゼントがあって。

そして何より、人がいた。


祝う人も、祝われる人も、みんなが同じくらい幸せそうだった。


誕生日の終わりに残ったのは、大きなイベントの余韻というよりも、「いい一日だったね」と静かに頷きたくなるような温かさだった。


ラウンジには、その温度だけがいつまでも残っていた。

 
 

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