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6月8日の物語

6月9日
読了時間: 3分

週末の熱気が少し落ち着いた月曜日のラウンジには、ゆったりとした時間が流れていた。


この日の話題の中心にあったのは、うめしゅーが出演していた人狼を題材にした舞台だった。


実際に観劇したせいとや友人たちは、「あの時どう思った?」「人狼誰だと思ってた?」と興奮気味に語り始める。


あの場面の伏線。

あの人物の表情。

最後に明かされた真実。


感想を言い合うたび、舞台はもう一度その場に立ち上がってくるようだった。


りのは観に行けなかった分、少し羨ましそうにその輪を眺めていた。


けれど誰かが話すたび、まるでその場にいたかのように想像を膨らませている様子で、「次は絶対観たいな」と笑っていた。


舞台の余韻は、そのままゲームへと姿を変える。


「じゃあ人狼やろうよ」

誰かの一言で始まったのは、ドラゴンクエスト人狼だった。


普通の人狼とは少し違う。

疑われたからといってすぐに退場するわけではなく、運も絡む。

だからこそ最後まで何が起こるかわからない。


疑いの目を向けられながら生き延びる者もいれば、潔白なのに追い詰められる者もいる。


二回続けて魔物役を引いてしまった友人は、緊張のあまり本当にお腹が痛くなっていた。


一方で、なぜか毎回のように最初の夜で倒れてしまう友人もいて、その不運ぶりにみんなが苦笑していた。


うめしゅーは舞台の感想戦でも見せていた観察眼を、そのままゲームの中でも発揮していた。


誰が怪しいか。

どの発言が不自然か。

鋭く見抜いていく。

けれど、見抜きすぎる者は長生きできない。

魔物たちに真っ先に狙われてしまい、周囲から笑いが漏れた。


りのには、もっとわかりやすい癖があった。

魔物になると水を飲む量が増える。

本人は隠しているつもりなのに、なぜか毎回そうなる。


せいとは逆に、普段から発言が多い。

だから正しいことを言っていても疑われる。

「しゃべりすぎなんだよ」

そんなツッコミが飛ぶたび、本人も苦笑いしていた。


魔王はなかなか見つからない。

信じた相手に裏切られることもある。

疑った相手が本当に仲間だったりもする。

それでも誰かが騙され、誰かが見抜き、そのたびに笑いが起こる。


舞台の中の人狼も面白かったけれど、目の前にいる人たちの人狼もまた面白い。

ゲームが進むほど、その人らしさが少しずつ滲み出てくるからだ。


気づけば時計は思ったより進んでいた。

穏やかに始まったはずの夜は、いつの間にか全員がゲームに夢中になっていた。


疑い合っていたはずなのに、最後に残るのは笑顔ばかり。

そんな人狼の夜が、静かに幕を閉じた。

 
 

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