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7月10日の物語

7月12日
読了時間: 2分

夏が近づくと、不思議と「今年こそは」という話が増えてくる。


この日も、「夏といえば何したい?」という何気ない会話から始まった。


れみーは「毎年プールに行きたいって言うんだけど、結局行かないんだよね」と笑う。それを聞いたいっちーとすずみーも「行きたい!」と声を揃えたものの、話を聞いてみると、二人がしたいのは本格的な水泳。思い切り遊びたいれみーとは、どうやら目指すプールが違っていたらしい。


さらに話は泳ぎ方へ。


「バタフライできる?」


そう聞かれたれみーは、「私は溺れてるみたいになる」と照れ笑いを浮かべる。


その姿を想像しただけで、ラウンジには笑い声が広がった。夏はまだ少し先なのに、ひと足早く水しぶきのような賑やかさが生まれていた。


話題が落ち着いた頃、友人との会話で「ビデオ」という言葉が飛び出した。


「ビデオ? DVDのこと?」


Z世代のすずみーの一言に、みんなが思わず顔を見合わせる。


帰宅したうめしゅーも輪に加わり、VHSやカセットテープ、MDの話へと広がっていく。


「昔は借りてきたDVDを焼いてたんだよ。」


今では当たり前になった配信サービスを思えば、どれも少し懐かしい話ばかり。


知らない時代を教わる人も、懐かしそうに思い出す人もいて、世代が違うからこそ会話は尽きなかった。


同じラウンジにいながら、それぞれ違う時代を持ち寄れるのも、この場所の面白さなのかもしれない。


夜も深まる頃、れみーがオーディションのダンスについて相談すると、いっちーが迷いなく言った。


「上手さじゃないよ。パッションだ。」


その一言をきっかけに、すずみーによる即席のパッション講座が始まる。


身体のライン、筋肉の使い方、そして何より表情。


一つひとつ教わりながら踊り切ったれみーは、始まる前よりずっと晴れやかな顔をしていた。


技術だけでは届かないものがある。


そのことを、みんなが自然と共有できた時間だった。


帰り際、「またね」と手を振る友人たちの笑顔を見送りながら、この日もラウンジには、何気ない会話から始まった温かな思い出が、静かに積み重なっていった。

 
 

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