7月12日の物語
日曜日のラウンジは、それぞれの「好き」が自然と交わる場所になっていた。
同じシェアハウスに住んでいながらも、顔を合わせてちゃんと話すのは今日が初めてだったすぎちゃんとけんじは、話してみると好きなものが驚くほど似ていて、話題は次から次へと広がっていく。
その様子をくぼりおや友人たちは微笑みながら見守り、初対面とは思えないほど穏やかな空気が流れていた。
そんな会話の中から生まれたひとつの話題をきっかけに、シューティングゲームが始まる。
夢中になって遊んでいると、すぎちゃんがぽつりと「殺陣をちゃんとやったことないんだよね」とこぼした。
その一言を聞いたくぼりおは、迷うことなく部屋戻り刀を持って戻ってくる。
気づけばラウンジは、遊び場から稽古場へと姿を変えていた。
けんじとくぼりおに基本を教わりながら、すぎちゃんは初めて刀を握る。
「次の動きを決めてから受けるんじゃなくて、この状況だから、その行動を選ぶんだよ。」
そんな言葉を聞きながら動きを重ねるうちに、すぎちゃんの中で殺陣の見え方が少しずつ変わっていった。
派手な技を見せるものではなく、その人物が何を思って刀を振るのかを描くもの。
お芝居と同じように、物語があって初めて動きに意味が生まれる。その面白さに触れた瞬間だった。
「覚えるの早いね。」
そう褒められたすぎちゃんは、嬉しそうに笑っていた。
その熱は途切れることなく続き、ガンアクションを撮り終えたあとも、誰からともなく再び刀を手に取る。
今度は友人から「納刀や抜刀も見てみたい!」という声が上がり、基本の所作をみんなで練習することに。
そのまま自然と立ち回りが組み上がり、「最後はこっちの納刀がかっこいいかも」「その間のほうが好き!」と、友人たちも演出に加わっていく。
一つの作品を、そこにいる全員で少しずつ育てていくような時間だった。
誰かの「やってみたい」が、誰かの「教えたい」につながり、気づけばみんなで一つの物語を形にしている。
そんな自然な広がりが、この日のラウンジをあたたかく包んでいた。
