7月13日の物語
新しい一週間の始まりは、毎月恒例となった脚本リレーから始まった。
今回のお題は「パニックホラー」。
きっかけは、せいとが以前挑戦したエチュードだった。
思うように形にできなかった悔しさを、「今度こそ面白いものにしたい」という気持ちへ変えて、この日の"起"を書くことになった。
「パニックホラーって何だろう。」
パンデミック、未知の生物、閉ざされた空間――。
友人たちも輪に加わり、それぞれが思いつく恐怖を少しずつ並べていく。
やがて誰かが「これってゾンビじゃない?」と口にした瞬間、物語は一気に動き始めた。
せいとが物語の骨組みを作り、くぼりおとみずきちが言葉を磨いていく。
途中まで書き上げるたびにみんなで読み返し、「ここはテレビのニュースを流そう」「アナウンスなら書けるよ」と役割が自然と生まれていった。
架空のウイルスの名前や、登場人物同士の距離感、語尾の違いまで丁寧に話し合いながら、一つひとつ世界が形になっていく。
少しずつ積み重なっていく物語に、期待まで書き込まれているようだった。
脚本を書き進める中で、三人はある面白さにも気付く。
せいとは映像、くぼりおは舞台、みずきちは朗読。
普段向き合っている表現が違うからこそ、同じ一場面でも膨らませ方が少しずつ違う。
「映像ならこう見せたい。」
「舞台ならこの台詞が映える。」
「朗読なら情景が浮かぶ言葉にしたい。」
それぞれの視点が重なるたびに、一つの脚本は少しずつ厚みを増していった。
もしこの場所がなければ出会わなかったかもしれない表現が、同じ物語の中で交わっていく。
完成した"起"を見つめながら、せいとは「これ、映像になったら絶対面白い」と笑った。
その言葉に頷く人たちの表情には、まだ始まったばかりの物語の続きを楽しみにする気持ちが、静かに灯っていた。
