7月15日の物語
脚本リレー三日目。
この日託されたのは、物語が大きく動き出す「転」の部分だった。
いっちー、くぼりお、すぎちゃんは、それぞれ思いついたアイデアを持ち寄りながら、「この展開はどう?」「それならこっちの方が面白いかも」と話を重ねていく。
時には脱線して笑い合い、また物語へ戻ってくる。
その繰り返しが心地よく、気づけば時間だけが静かに過ぎていた。
「けっこう書けたんじゃない?」
途中で全体を見返してみると、意外にも物語は思ったほど進んでいない。
「え、もうこんな時間!?」
三人は顔を見合わせて慌て始める。
そんなタイミングで、たまたまラウンジへ降りてきていたせいとが様子を見てひと言。
「俺が手伝う。」
その一言で、即席のスーパーアドバイザーが誕生した。
物語の流れや細かな表現、場面のつなぎ方まで、せいとは次々とアイデアを重ねていく。
「なるほど!」「すごい!」
三人はいつしか書き手というより、一番近くで物語が組み上がっていく様子を楽しむ観客のようになっていた。
友人たちも完成へ向かう様子を見守りながら、ときどき意見を添え、ラウンジ全体で一つの脚本を育てていく。
最後の文章を書き終えたせいとが、少し得意げに「どうだ!」と言うと、三人は思わず拍手と笑顔で応えた。
その空気につられるように友人たちも笑い出し、ラウンジは穏やかな笑い声に包まれる。
一人では思いつかなかった発想が、誰かの一言で形になっていく。
困った時には、自然と手を差し伸べてくれる人がいる。
そんな当たり前のようで特別な時間が、この日の「転」を、物語だけでなくラウンジの思い出としても、しっかり彩ってくれた。
