top of page

7月18日の物語

7月19日
読了時間: 2分

土曜日のラウンジは、すぎちゃんの誕生日を囲むように、笑顔が少しずつ集まってきた。


最初に取りかかったのは、「みやざわトーテムポール」の制作。


いっちーとさのちゃんが生み出した、シェアハウスの非公認マスコット「みやざわさん」を積み重ねた作品も、いよいよ完成間近。

あと五体というところまで来ていたため、すぎちゃんといっちーは黙々と筆を進めていく。


突然始まった創作に周りは少し戸惑いながらも、少しずつ増えていくみやざわさんを見ているうちに、「あと少しだね」と自然と完成を楽しみにする空気が広がっていた。

作品も、人も、少しずつ育っていく時間だった。


ひと息ついた頃、せいとが「今日は、みんながすぎちゃんにやってほしいことをやろう!」と提案する。


歌やダンスかと思いきや、集まったリクエストは一発芸や替え歌ばかり。


普段はあまりお笑いをしないすぎちゃんも、「おめめとう」や「新宝島」などに挑戦し、そのたびにラウンジには笑い声が響く。


無茶ぶりを楽しみながら次々とアイデアを生み出す仲間たちに、笑顔が途切れることはなかった。

一人のアイディアが、その場にいる全員の笑顔へと変わっていく様子は、この場所らしい景色だった。


そして最後のリクエストは、「みんなからすぎちゃんが褒めちぎられる」というもの。


住民や友人たちが書いた褒め言葉の紙を、集めてシャッフルして、一枚ずつ読み上げていく。


照れくさそうに笑いながらも、一つひとつの言葉を受け取るすぎちゃんの表情は、とても穏やかだった。


言葉にすると、気持ちはちゃんと届くのだと、みんなが改めて感じた時間だった。


その後は、ハンディファンを使った即席スポーツ大会へ。


風船を風だけで相手のコートへ運ぶ、不思議なテニスのようなゲームだったが、勝敗を分けたのは技術よりもハンディファンの充電残量と風力。


「そのハンディファン強すぎる!」


思わぬところで性能差が勝負を決め、みんなで大笑いした。


さらに、せいとが密かに広めているペットボトルキャップ野球も始まる。


最初は苦戦していたすぎちゃんも、何度か投げるうちにコツを掴み、「うまい!」「すごい!」と歓声が飛ぶほどに上達していった。


「これはチーム作れるんじゃない?」


そんな冗談まで飛び出し、せいとは嬉しそうに仲間を増やす計画を立てていた。


誕生日だからと特別なことをしたわけではない。


それでも、一緒に笑って、挑戦して、言葉を交わした一日が、きっと何より温かな贈り物になっていた。

 
 

最新記事

すべて表示
9月16日の物語

雨のせいか、この日のラウンジにはいつもよりゆっくりとした時間が流れていた。 それでも、誰かの隣には自然と誰かがいて、話し声が静かに途切れることはなかった。 ゲームにも少し飽きてきた頃、まさき、たいが、いっちーの三人はダーツを始めることに。 最初こそ点数を数えていたものの、次第に面倒になり、なぜか「最初にブルへ入れた人が負け」という男気ダーツが始まった。 真剣にブルを狙いながら「入るな!」と叫ぶ、矛

 
 
9月15日の物語

この日のラウンジは、みずきち、がくし、はるきと、遊びに来た友人たちでゆったりと始まった。 大勢で囲むような賑やかさとは少し違う。 それでも、誰かが何かを始めれば、自然とみんなの視線がそこへ集まり、気づけば笑い声が重なっている。 そんな近い距離感の夜だった。 始まりは、がくしが一昨日行われた「メロい先輩選手権」を振り返ったことから。 「そもそも、メロさとは何か」 答えを探すべく、みずきちとはるきに“

 
 
9月14日の物語

久しぶりに顔を見せてくれた友人も多く、この日のラウンジはあちこちで話が弾んでいた。 そんな中、りのと友人たちが始めたのは、おじさん構文を作るゲーム。 手札を組み合わせるたびに、絶妙に嫌な距離感のメッセージが次々と誕生する。 読み上げるたびに悲鳴が上がり、それ以上の笑い声が返ってきた。 やがて「最高の文を考えよう!」と、勝ち負けそっちのけで全員の知恵を集め始める。 そして完成したのが、 「オジサンサ

 
 
bottom of page