7月23日の物語
久しぶりにラウンジへ顔を出したはるきは、雅とすぎちゃんの姿を見つけると、ふと笑って言った。
「また一緒にハモりたいな。」
その一言から、この日の音楽づくりが始まる。
雅が「夏だし、スティッチの曲はどう?」と提案し、『Hawaiian Roller Coaster Ride』を歌うことに決まった。
参考にしたのは、男性二人と女性一人で歌う動画。主旋律は雅、上下のハモリをはるきとすぎちゃんが担当する。
ところが、はるきはハモリを拾うことに大苦戦。
雅やすぎちゃんが音を何度も口ずさみ、一緒に確認しながら練習を重ねるものの、思うようにはいかない。
「もう、歌ってみよう!」
そう決めて録音を始めると、不思議と少しずつ形になっていった。
失敗しては笑い、「もう一回!」「あと一回だけ!」と録り直しを繰り返す。その時間さえ、作品づくりの大切な一場面になっていた。
さらに、「せっかくだからハワイらしい雰囲気も入れたいね」という話になり、遊びに来ていた友人たちへ急遽パーカッションをお願いすることに。
手渡されたのは、ギロ、カバサ、アサラト。
ほとんど誰も触ったことのない楽器だったが、友人たちはその場で演奏方法を調べ、一つひとつ音を確かめながら挑戦していく。
軽やかに刻む音、心地よく揺れるリズム、小気味よく響くアクセント。
少しずつ音が重なるたび、三人の歌にも夏の景色が広がっていった。
完成した動画をみんなで見返すと、「いい感じじゃないですか!」と雅が嬉しそうに笑う。
演奏を手伝ってくれた友人たちも満足そうな表情を浮かべ、その笑顔を見たはるきも、そっと胸をなで下ろしていた。
音楽のあとは、気分転換に「エイゴダーケ」を囲む。
英語の歌詞に苦戦していた勢いのまま、「英語だけで伝える」というルールのゲームに挑戦すると、最初は戸惑っていた友人たちも、少しずつ知っている単語をつなぎ合わせて積極的に答え始める。
初めて会う人同士でも、「それ分かった!」「その言い方うまいね」と自然に声を掛け合い、気づけば一つの輪になっていた。
一人では完成しない歌も、一人では生まれない笑顔もある。
だからこそ、この日のラウンジには、みんなで音を重ねて作った一曲のような、穏やかで心地よい時間が流れていた。
