7月9日の物語
その日のラウンジには、いろいろな時代の歌が流れていた。
始まりは、すぎちゃんが提案した朗読曲当てゲーム。
Aメロの歌詞を朗読し、曲が分かったらサビを歌って答える。選ぶ曲にも読み方にも、不思議とその人らしさが表れていた。
みずきちの問題は、「分かりそうで分からない」と、みんなで頭を抱える絶妙な難しさ。
抑揚や間の取り方も見事で、歌になりそうでならないぎりぎりを進んでいく。
一方、せいとはサビから始まる曲を選び、うっかり答えをそのまま歌ってしまった。
「もう答えじゃん!」
笑い声が広がる隣で、すぎちゃんは特徴的な歌詞の曲を選び、冒頭だけで次々と正解されていた。
「このゲーム面白い! またやろう!」
せいとの言葉に、みんなも笑顔で頷いた。
歌を知っていても知らなくても、一緒に答えを探す時間が楽しかった。
続いて始まったのは、みずきちが友人から教えてもらった『Q.●▲★■』。
分かれている問題文を少しずつ開き、隠された答えを探していくゲームだ。
一文字しか書かれていないカードに悩んだり、突然始まる実演問題に戸惑ったり。
本当は個人戦のはずなのに、「全然違う!」「惜しい!」と声を掛け合ううち、いつしかみんなでひとつの答えを考えていた。
少し離れていた友人も自然と会話に加わり、難しい問題ほどラウンジ全体がひとつになっていく。
「これ、面白いし欲しいな……」
体験版を終える頃には、せいとやすぎちゃんが完全版を調べ始めていた。
いつかゲーム棚に並び、またみんなで頭を悩ませる日が来るかもしれない。
最後は、せいとがおすすめする『ヒットスター』。
流れてくる曲を年代順に並べながら、知っている歌には自然と身体が揺れ、知らない歌にはみんなで耳を澄ませる。
友人たちが迷いながらも正しい順番に並べると、自然と拍手が起こった。
せいとの番で流れた、知らない一曲。
「さすがに、そんなに古くないでしょ」
そう予想してみたものの、答えは一九四八年。
「そんな時代の曲も入ってるの!?」
驚いた顔を見合わせ、また笑い声が広がった。
気づけば、最後まで音楽と笑い声が途切れることはなかった。
途中から遊びに来た友人も、いつの間にか一緒に歌い、考え、笑っていた。
好きな歌も、懐かしいと感じる時代も、それぞれ違う。
それでも同じ音楽を囲めば、初めましてもいつの間にか薄れていく。
最後の曲が終わったあとも、ラウンジには、みんなで過ごした夜の温かさが静かに残っていた。
