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7月9日の物語

7月10日
読了時間: 2分

その日のラウンジには、いろいろな時代の歌が流れていた。


始まりは、すぎちゃんが提案した朗読曲当てゲーム。


Aメロの歌詞を朗読し、曲が分かったらサビを歌って答える。選ぶ曲にも読み方にも、不思議とその人らしさが表れていた。


みずきちの問題は、「分かりそうで分からない」と、みんなで頭を抱える絶妙な難しさ。

抑揚や間の取り方も見事で、歌になりそうでならないぎりぎりを進んでいく。


一方、せいとはサビから始まる曲を選び、うっかり答えをそのまま歌ってしまった。


「もう答えじゃん!」


笑い声が広がる隣で、すぎちゃんは特徴的な歌詞の曲を選び、冒頭だけで次々と正解されていた。


「このゲーム面白い! またやろう!」


せいとの言葉に、みんなも笑顔で頷いた。


歌を知っていても知らなくても、一緒に答えを探す時間が楽しかった。


続いて始まったのは、みずきちが友人から教えてもらった『Q.●▲★■』。


分かれている問題文を少しずつ開き、隠された答えを探していくゲームだ。


一文字しか書かれていないカードに悩んだり、突然始まる実演問題に戸惑ったり。

本当は個人戦のはずなのに、「全然違う!」「惜しい!」と声を掛け合ううち、いつしかみんなでひとつの答えを考えていた。


少し離れていた友人も自然と会話に加わり、難しい問題ほどラウンジ全体がひとつになっていく。


「これ、面白いし欲しいな……」


体験版を終える頃には、せいとやすぎちゃんが完全版を調べ始めていた。


いつかゲーム棚に並び、またみんなで頭を悩ませる日が来るかもしれない。


最後は、せいとがおすすめする『ヒットスター』。


流れてくる曲を年代順に並べながら、知っている歌には自然と身体が揺れ、知らない歌にはみんなで耳を澄ませる。


友人たちが迷いながらも正しい順番に並べると、自然と拍手が起こった。


せいとの番で流れた、知らない一曲。


「さすがに、そんなに古くないでしょ」


そう予想してみたものの、答えは一九四八年。


「そんな時代の曲も入ってるの!?」


驚いた顔を見合わせ、また笑い声が広がった。


気づけば、最後まで音楽と笑い声が途切れることはなかった。


途中から遊びに来た友人も、いつの間にか一緒に歌い、考え、笑っていた。


好きな歌も、懐かしいと感じる時代も、それぞれ違う。


それでも同じ音楽を囲めば、初めましてもいつの間にか薄れていく。


最後の曲が終わったあとも、ラウンジには、みんなで過ごした夜の温かさが静かに残っていた。

 
 

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