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8月12日の物語

8月13日
読了時間: 2分

明日のゾンビ撮影を前に、ラウンジではみんなでセットの準備を進めていた。


手を動かしながら交わされる会話の中で、引っ越してきたばかりのがくしがウルトラマン好きだと判明する。

いっちーと友人はすぐさま意気投合し、気づけば「ウルトラマン会議」が始まっていた。


一方、まったく知らないたいがが「そもそもウルトラマンは何人いるの?」と尋ねたことで、話は思わぬ方向へ。

「あれはウルトラマンに入るのか」「それを入れたらあれも入る」と議論は白熱し、知らないカタカナが飛び交うたび、たいがの目は遠くなっていく。


ところが「ウルトラマンタイガ」の名前が出た瞬間だけ、ぱっと顔が明るくなった。

その小さな共通点だけで、知らない世界がほんの少し近づいたようだった。


この日は、誕生日を迎えた友人も遊びに来ていた。あとから来た友人たちがドーナツを持って現れ、突然「歌って」と頼まれたがくしとたいがは戸惑いながらも歌って祝う。


そこから友人のタンブラーに描かれたサンリオキャラクターの名前当てが始まり、「グッドはな丸」を、がくしが「グッド丸岡」と言い間違えたことで、新たな謎のキャラクターまで誕生した。

誕生日を祝うはずの時間は、いつの間にかみんなで笑う時間になっていた。


設営の途中には、いっちーが黒いガムテープでたいがの顔に髭や眉毛、シワを追加していく。


完成したのは、妙な渋みをまとった見知らぬたいが。


たまたま現れたうめしゅーまで絶賛し、みんなで写真に収めてみるものの、見返せば見返すほど「誰なんだ、この人」と笑いが止まらない。


最初は設営を少し億劫そうにしていた友人たちも、気づけば一緒になって手を動かしていた。


「文化祭みたい」


そんな声が聞こえてくる。


学生時代、思うように文化祭を経験できなかった世代にとっては、明日のためにみんなで何かを作るこの時間そのものが、少し遅れてやってきた青春だったのかもしれない。

 
 

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