8月19日の物語
引っ越し後、久々にシェアハウスに遊びに来たさのちゃんが、いっちーと出演する舞台のフライヤーを持ってきた。
それを見たたいがも「俺もあるよ」と自分の舞台のフライヤーを取り出し、せっかくだから友人たちへ配ることに。
「サインも欲しい!」
その一言から始まったサイン会は、いっちーが有名人のサインを真似し始めたあたりから雲行きが変わる。
「それ誰のサイン!?」と笑っているうちに、いつしかペンはサインではなく絵を描き始めていた。
さのちゃんは好きなアニメのキャラクターを描き、互いのフライヤーにも自由に落書き。
たいがの絶妙なイラストには大笑いが起きた。
最後に友人たちの手へ渡ったのは、サインと絵でいっぱいになった世界にひとつだけのフライヤー。
舞台を楽しみにしてくれる笑顔を見ていると、届けたい作品の先に誰かがいてくれることが、少し嬉しく思えた。
その後は、まさきが「人生ゲームやったことがない」と言ったことから、初めての人生ゲームへ。
始まってみれば、半数がまさかのフリーター。
それでもフォロワー八万人を獲得したり、株で大当たりしたりと、職業に囚われず案外たくましく生きていく。
一方では火星に二軒も家を建てて大借金する人も現れた。
笑いながらも「あり得ない話でもないな」と、妙な現実味に少しだけ怖くなった。
そして初参加のまさきは、序盤の借金をものともせずプロアスリートとして返り咲き、マンションを購入し、子宝にも恵まれて一番にゴール。
「人生って簡単だな」
初めての人生を満喫するその言葉に、みんなで笑った。
一つの話からゆっくり寄り道できる。
そんな何気ない時間が、この日のラウンジには穏やかに流れていた。
