top of page

8月3日の物語

8月4日
読了時間: 2分

ラウンジには、それぞれが持ち寄った「好き」が、自然と集まっていた。


かりんが出演したミュージカルの話になると、友人たちは好きだった場面や心に残ったセリフ、俳優のお芝居、演出や衣装について次々と言葉を交わしていく。


同じ作品を観ていても、心を動かされた瞬間は人それぞれ。


「あのシーンが好きだった。」

「私はあの表情が忘れられない。」


そんな一つひとつの言葉に、かりんは静かに耳を傾けていた。


住んでいる場所も、歩んできた道も違う人たちが、一つの作品をきっかけにつながっていく。


演劇には、人と人を近づける力があるのだと、改めて感じられる時間だった。


そして、率直な感想を受け取ったかりんは、「応援してくれる人たちのために、次も頑張ろう」と、次の舞台へ向かう熱い想いをそっと胸に灯していた。


その横では、「TRPGをやってみよう!」という友人の提案で、新しい物語が始まる。


経験者のせいとと友人が、初挑戦のくぼりおへルールを説明するものの、頭の上には大きな「?」が浮かんでいる様子。


そんな姿にみんなで笑いながらも、物語は少しずつ進んでいく。


最初は戸惑っていたくぼりおも、場面を重ねるごとに少しずつ世界へ入り込み、必死に物語についていこうとしていた。


誰かが物語を作るのではなく、その場にいる全員で物語を育てていく。


TRPGならではの面白さを味わいながら、最後には思わず拍手が起こるような結末を迎えることができた。


「面白かったね。」


その一言には、同じ時間を一緒に旅した人だけが分かる満足感が込められていた。


作品について語る時間も、新しい物語を生み出す時間も、誰かの「好き」に耳を傾ける時間も、どれもこの場所だからこそ生まれるもの。


穏やかな会話の中で、それぞれの世界が少しずつ重なり合っていく、そんなあたたかな夜だった。

 
 

最新記事

すべて表示
9月16日の物語

雨のせいか、この日のラウンジにはいつもよりゆっくりとした時間が流れていた。 それでも、誰かの隣には自然と誰かがいて、話し声が静かに途切れることはなかった。 ゲームにも少し飽きてきた頃、まさき、たいが、いっちーの三人はダーツを始めることに。 最初こそ点数を数えていたものの、次第に面倒になり、なぜか「最初にブルへ入れた人が負け」という男気ダーツが始まった。 真剣にブルを狙いながら「入るな!」と叫ぶ、矛

 
 
9月15日の物語

この日のラウンジは、みずきち、がくし、はるきと、遊びに来た友人たちでゆったりと始まった。 大勢で囲むような賑やかさとは少し違う。 それでも、誰かが何かを始めれば、自然とみんなの視線がそこへ集まり、気づけば笑い声が重なっている。 そんな近い距離感の夜だった。 始まりは、がくしが一昨日行われた「メロい先輩選手権」を振り返ったことから。 「そもそも、メロさとは何か」 答えを探すべく、みずきちとはるきに“

 
 
9月14日の物語

久しぶりに顔を見せてくれた友人も多く、この日のラウンジはあちこちで話が弾んでいた。 そんな中、りのと友人たちが始めたのは、おじさん構文を作るゲーム。 手札を組み合わせるたびに、絶妙に嫌な距離感のメッセージが次々と誕生する。 読み上げるたびに悲鳴が上がり、それ以上の笑い声が返ってきた。 やがて「最高の文を考えよう!」と、勝ち負けそっちのけで全員の知恵を集め始める。 そして完成したのが、 「オジサンサ

 
 
bottom of page