9月10日の物語
この日のラウンジは、みやびが訪れた恋愛にまつわる体験型展示の話から始まった。
話題は「どこからが浮気なのか」。
れみーとみやびの意見はぴたりと一致する一方、がくしは彼氏側の意見にも少し頷くところがあるらしい。
「え、それはどうなんだろう……」
考えれば考えるほど答えは出ず、最後には三人揃って頭を抱える。恋愛の正解は、ゲームの攻略法ほど簡単には見つからないようだった。
そんな三人が次に開いたのは、最近すっかりお馴染みの「ドゥームズデイ」。
「みんなで対戦とかできないのかな?」
話しているうちに、せっかくなら三人で配信してみようということになった。コメントも読みやすいTikTokライブに挑戦すると、がくしとみやびは順調にスタート。しかし、れみーだけがなかなかアカウントに入れない。
あれこれ試して、ようやくれみーの配信が始まった頃には、待っていたみやびがギターを弾き始めていた。
ゲーム配信のはずだったのに、いつの間にかラウンジには音楽が流れている。
ドゥームズデイを終えたあとも、れみーとみやびはそのまま顔出し配信へ。れみーは届くコメントひとつひとつに反応し、みやびはギターで弾き語り。その後ろを、がくしが行ったり来たりしながらボイスパーカッションで彩っていく。
三人とも同じ場所にいるのに、楽しみ方はそれぞれ。それが不思議とひとつの配信として混ざり合っていた。
画面の向こうから、仕事で遊びに来られなかった友人の「また今度遊びに行くね!」というコメントが届く。
会えない日にも、声や音楽を通して同じ時間を少しだけ分け合える。
いつもより静かなラウンジから始まった配信は、気づけばここにいない友人たちへ「今日はこんな夜だったよ」と届ける、小さな便りのようになっていた。
