9月1日の物語
更新日:9月5日
久しぶりに顔を合わせる住民たちと、いつもの友人たち。
近況を話しながら穏やかに過ごしていると、けんじがボードゲームの棚を眺めて言った。
「やったことないゲームをやりたい」
そこで見つけたのが「ザ・ゲーム」。
ルールを読んだけんじの「みんなでできそうだからやろう!」の一声で、友人たちも交えて挑戦することになった。
数字を明言できないまま、協力してカードを並べていく。
「ここら辺のカード持ってるから並べないで!」
「ごめん、これしかない!」
曖昧な言葉から互いの手札を想像しながら進めるものの、けんじはどうにも手札に恵まれず、苦しいカードを出すこともしばしば。
そんな窮地で、みずきちが声を上げた。
「ここ救える! 助けられる!」
何度も絶妙な一手でみんなを助ける姿に、いつしか呼び名は「メシア」に。
数字を並べていただけのはずが、妙な信仰まで生まれていた。
やがて、かりんも帰宅。
話題は、シェアハウスで流行り始めているスマホゲーム「ドゥームズデイ」へ移っていった。
話を聞いていた友人も、その場でゲームをダウンロード。
登録方法や座標の移動をみんなで相談しながら、少しずつ同じ世界へ入っていく。
けんじが「誰かの同盟に入ろうかな〜」と言えば、「私の同盟に!」と立候補が続出。
住民みんなで今後ゲーム配信もしようと盛り上がった。
ゾンビとの戦いや基地の強化だけでなく色々な作業があるらしく、れみーからは突然、
「トマトが足りない〜」
という声も聞こえてきて、みんなで笑った。
久しぶりに会った人とは近況を話し、いつもの友人とはまた新しい遊びを見つける。
そして今日初めて同じゲームを始めた誰かとは、明日からラウンジの外でも同じ世界を冒険していく。
ラウンジで過ごす夜が終わっても、そこで繋がった時間は終わらない。
それぞれが帰ったあとにも、今日始まった小さな冒険だけは、まだ静かに続いていく。
