9月29日の物語
この日のラウンジでは、好きなものの話が、いつもより少しだけ人を夢中にさせていた。
いつものようにギターを練習するけんじに、けいちゃんが「指立てたほうがいいよ」と声をかける。「けいちゃん弾けるの!?」。
思わぬ先生の登場に、けんじは嬉しそうに教わり始めた。
そんな中、友人がわおんぬに「このイマーシブシアター、面白そうだよ」とフライヤーを見せる。イマーシブが大好きなわおんぬは、気になるあまり「見たい!」とぐっと身を乗り出した。
すると少し勢いがつきすぎたのか、椅子のバランスを崩して、そのまま前へ。
「大丈夫!?」とみんなが驚いて手を差し伸べる。幸い怪我はなく、起き上がったわおんぬは「コケちゃって恥ずかしい、大人なのに…」。
心配していたみんなも、その一言でようやく笑顔になった。
一方、けいちゃんは友人の持ってきた小道具で怪しげな殺し屋に変身。
「こんな役がやりたい!」と目を輝かせる。その後も、おすすめのお菓子や仕事、懐かしい日の話まで、それぞれの“好き”から会話はどこまでも広がっていった。
夢中になって、教えたり、転んだり、笑ったり。
少し恥ずかしかった出来事さえ、誰かと笑えば、その日の楽しい思い出のひとつになっていく。
そんな何気ないことを分け合いながら、あっという間に夜が過ぎていった。
