9月30日の物語
大きな出来事がなくても、みんなで笑って過ごした夜は、ちゃんとこの場所の思い出になっていく。
そんな何気なくて平和な一日が、今日もラウンジにひとつ増えていった。
始まりは、つばさが提案した「脳死しりとり」。手で拍子を取りながら「りんご」「ゴリラ」「ラッパ」と言葉を繋ぐ。
ただそれだけなのに、焦るほど頭は働かなくなり、「ん」はつくし、存在しない言葉まで飛び出す。
最後はいっちーの「もうやめましょう!!」で強制終了となり、みんなで笑った。
そのまま遊びの熱はXENOへ。
友人が持ってきてくれたこともあり、二か所で同時に勝負が始まった。
いっちーに負けて悔しがるせいと、遊戯王のような熱量で戦ういっちーとつばさ。
その楽しそうな様子につられて、初めて遊ぶ友人も自然と輪の中へ入っていった。
勝ったり負けたり、くだらないことで笑ったり。
特別なことは何もなかったけれど、気づけば終わりの時間が近づいていた。
「あー楽しかった、帰りたくないなー」
誰かがこぼしたその一言に、この夜のすべてが詰まっているような気がした。
振り返れば9月も、こんな何気ない夜をいくつも重ねてきた。
笑ったことも、くだらなかったことも、帰りたくないと思ったことも、ひとつずつこの場所に残っていった。
明日になれば、また新しい月が始まる。
その前にもう少しだけ、この夜を惜しむように。
9月最後のラウンジは、いつもと変わらない笑い声の中で、静かに更けていった。
