9月7日の物語
一週間が始まったばかりの月曜日。
けれど、この日のラウンジには週の始まりらしい慌ただしさよりも、学校が終わったあと、なんとなく友達のところへ集まってきたような空気が流れていた。
最近仲間入りした「Kluster DUO」を見つけたうめしゅーが、声を上げる。
「テレビで見たことあるやつだ!」
友人たちにも知っている人が多く、そのままみんなで遊んでみることに。
輪の中へ磁石を置いていくだけなのに、数が増えるほど置き場所は狭くなる。
そっと近づけただけで周りの磁石がゆらゆらと動けば、全員で息を呑む。
そして次の瞬間、勢いよく磁石同士がくっつくと、一斉に悲鳴。その声はすぐに笑いへ変わった。
ひとしきり遊んだあとは、住民たちの間で流行っている「ドゥームズデイ」の話へ。
対抗戦で勝つため、うめしゅーはまだ始めていない友人に遊び方を教え、せいとも「同盟入らない?」と仲間を増やしていく。
普段は誰かと争うことが得意ではないせいとも、今回ばかりは少し本気だ。
対抗戦には参加していないけんじは、頑張るみんなへ強い念を送り、ラウンジに降りてきていたくぼりおは、なかなか戦力が上がらないことをうめしゅーとせいとにいじられる。
誰の同盟に入るとか、どうすれば強くなれるとか。そんな話で盛り上がる様子は、放課後に流行りのゲームを持ち寄っていた頃と、どこか似ていた。
そんな中、うめしゅーが突然、
「俺は今から黙る!」
と宣言した。
さっきまでみんなと騒いでいたのに、今度は一人でノートへ向かい、黙々とペンを走らせる。
しばらくして「できた!」と顔を上げ、友人たちへ舞台のチラシを配り始めた。
そこには、今回の公演のために考えた新しいサイン。
公演ごとにサインを変えるのは大変じゃないかと聞かれても、「考えるの好きなんだ」と答える。
その手元のノートには、何度も書いて、悩んで、また書いた跡がびっしりと残っていた。
ゲームをしている人がいて、その話を眺めている人がいて、少し離れれば自分のやりたいことに夢中になっている人がいる。
月曜日なのに、もう少しだけ帰りたくなくて、くだらない話をしながら寄り道しているような時間。
大人になっても、放課後はなくならない。
名前を変えて、こういう場所にそっと残っているのかもしれない。
