9月9日の物語
雨音の聞こえる水曜日。
ラウンジへ降りてきたたいが、まさき、いっちーが見つけたのは、見慣れないダーツだった。
「ダーツあるじゃん!」
早速遊び始める三人。
さらに手裏剣型のダーツまで発見すると、一気にテンションが上がった。
ところが、投げてみるとまるで的に当たらない。
たいがもいっちーも予想外の方向へ飛ばし続け、遊びに来た友人からは「下手すぎて怖い!」と笑われる始末。
それでも懲りずに投げていると、ラウンジには雨音に負けない笑い声が響いていた。
ひとしきり遊んだ頃、まさきが突然、
「ゲーム配信やらないと!」
と「ドゥームズデイ」の配信を開始した。
目の前で始まる配信に友人たちも興味津々。
たいがといっちーもゲームを開き、「どうすれば戦力が上がる?」「どこを強化する?」と、いつしか全員を巻き込んだ作戦会議になっていく。
そんな中、いっちーが提案した。
「この三人は平和同盟で行こうね!」
こうして、お互いの拠点は攻撃しない「水曜平和同盟」が結成された。
――のだが。
せっかく強力な味方もいるのだからと、以前から気になっていた「他の人を攻撃するとどうなるのか」を試してみることに。
狙いを定め、進軍すること三十分。
ようやく攻撃が始まると、相手の拠点は瞬く間に炎に包まれた。
「これはかわいそう……」
そう呟いた矢先、二軍、三軍が続々と到着する。
襲撃を終えて残ったのは、燃え盛る拠点と大量の報酬。
「これはやばいことに手を出してしまったのでは……」
罪悪感と、ほんの少しの高揚感。
ついさっき平和を誓った三人は、この日初めて「ドゥームズデイ」の名前にふさわしい世界を知ってしまった。
雨の水曜日。
ゲームに飽きたらダーツを投げ、またゲームに戻って、くだらないことで笑い合う。
平日の真ん中には、このくらい力の抜けた夜がちょうどいい。
外では静かに雨が降り続いていたけれど、ラウンジでは水曜平和同盟の小さな戦火が、しばらく消えそうになかった。
